「疫学調査」と「介入試験」の違い

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サプリメントに限らず、健康に関する情報がマスメディアに氾濫しています。

研究方法で是非見極めてほしいのが、疫学調査と介入試験の違いです。

疫学調査というのは、野菜や果物など通常の食物の摂取量と病気になる率や死亡率との関係を調査する研究方法です。

これに対して、介入試験は、ある栄養素(サプリメント)を対象者に与えて、その結果、病気になる率や死亡率にどのような変化が現れたかをみる研究方法です。

疫学調査では、摂っているものが食べ物そのものなので、思い込み効果を調査結果から差し引くことができません。また、考慮に入っていないライフスタイルや精神的な素が結果に影響を及ぼしている可能性
もあります。

これに対して、もっと厳密な研究ができるのが、介入試験です。食べ物の中のある栄養素だけに関して、二重盲検法で思い込み効果を差し引いて、その栄養素と病気との関係を調べることができるのです。

緑黄色野菜や果物を多く摂取している人は、肺ガンや消化器のガンになる率が少ないという多くの疫学調査がありました。そこで計画されたのが、緑黄色野菜に多く含まれるベータカロチンと肺ガンとの関係を調べるための大規模な介入試験です。

ところが、この2つの介入試験で、ベータカロチンは肺ガンの発生に全く関係がないばかりか、かえって肺ガンの発生や死亡のリスクを高めるかもしれないという結果が出てしまいました。では、緑黄色野菜やベータカロチンは摂らない方がいいのでしょうか?

この介入試験の結果は、衝撃的でした。

そしてその解釈にはさまざまなことがいわれています。整理して考えてみましょう。

1.この試験で使用されたのは、ベータカロチンという栄養素だけである。緑黄色野菜にはベータカロチンばかりではなく、カロチノイドをはじめとするさまざまな植物性栄養素や酵素、補酵素、ミネラル、炭水化物、脂肪、タンパク質なども含まれている。

2.使用されたのは合成のベータカロチン。緑黄色野菜に含まれるベータカロチンと全く同じものではない。

この2点を考慮に入れると、この介入試験の結果から「緑黄色野菜や天然ベータカロチンを摂らない方がいい」という結論は出せません。この試験結果は「合成のベータカロチンを使った介入試験の結果は肺ガンに対して無効だった」といっているにすぎないのです。